ピアスガンの思ひ出

すごい昔、憧れの男性の耳にピアスを開けたことがあります。
当時私はバイト先の店長の友達のロック兄ちゃん(ちょっとロン・ウッドみたいな感じ)に憧れていました。でも私はガキっぽかったせいか、ぜんぜん相手にされませんでした。(彼は女優さんと同棲しているという噂もあるモテモテ男だったのだ。)
ある日、私が一人で店番をしていると、兄ちゃんが来ました。「店長いる?」「あと○時間くらいで来ますけど」「そうか…」兄ちゃんは黙ってしまいました。そしてタバコをふかしながら、ちらちらと私のほうを見ています。な、何なんでしょうか?!どきどきどきどき。
しばらくして兄ちゃんはコートのポケットから何か取り出して言いました。
「あのさ、俺にピアス、あけてくれないかな」テーブルに出されたのはピアスガンでした。「私が…ですか?!」「うん。嫌?」嫌とかなんとかじゃなくて、そんなの経験ないし、自分はあいてたけど、他人にするなんて怖いよぉ。でも私は兄ちゃんの目から出ているお願い光線に負けてしまいました。もっとほかの事をお願いされたかったんだけどなぁ。
神妙な顔をした彼の長めの髪をそっと手でどけます。わ〜兄ちゃんの髪の毛だよ、どきどき。顔もこんなに近くです。そして、位置を決めてピアッシング。それは悲惨でした。バネ式と思ったのが違っていて、こわごわ握ったら上手くいかず、兄ちゃんは「痛ててて!一気にやっちゃってよ!」と声を上げます。「キャーキャーすいませんごめんなさいあわわわわ、じ、じゃ行きますよ」好きな兄ちゃんに痛い思いをさせてしまい、パニック。もうこわごわやってる場合じゃないのでおもいっきり握りました。ブリっとピアスが肉に刺さったいやな感触。貫通してピアスが耳についていました。そのあとどんな会話をしたか、記憶がありません。兄ちゃんはお礼を言ってすぐに帰ったように思います。あのあとバイトもやめちゃって、兄ちゃんともずっと会っていません。
まだあのピアスホールはあるでしょうか?曲がってなかったかなぁ?ピアスつけるときに、時々は私のこと思い出してくれることがあったでしょうか?