野生シカ肉に含まれるセシウム量の年間変化

前にチェルノブイリ原発事故による鹿肉の汚染について少々書きましたこちら秋のシカ肉はキノコをたべるせいで放射性物質が多いというのが理解できなかったのですが、それに関連した資料がありましたので紹介します。Swedish Radiation Safety Authorityによる資料(最終更新日2010年7月)がメインです。

私は科学だめ子さんなので、間違いがありましたら教えてください。

スウェーデンでは地域によってはチェルノブイリ原発事故後に野生の肉に含まれるセシウム137の量が増加しており、ハンターやジビエ肉を大量に食べる人の間に不安が広がっている。(参照

註:「増加」という部分にも注目してください。元々がセシウム「ゼロ」なのではないってことでしょうね。

ノロジカとヘラジカの肉含まれるセシウム137の調査
一番上のグラフ:1986年から2004年の毎月にノロジカの肉を調べたもの。

縦軸は「ノロジカ肉中のセシウム137の量 (生肉 1kg あたりのベクレル数)」と書いてあります。
8月から急にセシウム量が上がり、9月10月と高い状態で、それから下がってゆくのがわかります。高い理由は、この時期にシカが食べるキノコにセシウム137が大量に含まれているから。

調査の行われたGävle(イェーブレ)コミューンはチェルノブイリから1500キロほど離れていますが、汚染はべったりと同心円状に広がったわけではない。空高く舞い上がって気流によって運ばれた放射性のチリが降雨によって集中してしまった、いわゆるホットスポットらしいです。

この事実を受け、該当地域においては「角のあるノロジカ(=オスの成体)のみ5月1日から6月15日を特別猟期」にしている。(参照

註:このグラフや特別猟期を日本のジビエミートの安全のため参照する場合は、季節の違いを十分考慮してください。日本よりずっと早く秋が訪れる豪雪地帯ですと、鹿の食べ物は同じ月でもだいぶ違うはずです。

ヘラジカの肉はノロジカと比べて汚染が低い。

註:同じシカ科でも、料理してみると肉の味も脂肪の溶ける温度も違う。体格はヘラジカが馬ほど大きいのに対してノロジカは大型犬ほど。食性も当然異なるはず。(ノロジカはキノコを良く食べるといわれている)

ノロジカとヘラジカの肉含まれるセシウム137の調査
二番目の青い棒グラフに赤丸の付いた2つのグラフ。上のグラフが5月(maj)、下が10月(oktober)。縦軸は「ノロジカ肉中のセシウム137の量 (生肉 1kg あたりのベクレル数)」(縦軸の数字が異なるので注意してください。)
チェルノブイリ事故後の長期的展開もまた季節に左右されている。5月に獲れたノロジカ肉のセシウムは毎年下がっている。1975年までの効果的な半減期は15年であった(意味わからなくてすいません)。10月のグラフで同時期を比較しても、まったく減っていない。このことから、キノコの中のセシウムはゆっくりとしか減らないことがわかる。

なお1990年代後半にノロジカの数が急激に減ったのは、ヨーロッパオオヤマネコの増加、ノロジカの生息地の人里により近い方への移動などが考えられている。

とりあえずここまででUPします。