水力による瑪瑙のカット〜研磨

電気に頼らず、昔ながらの水車を使った瑪瑙のカット〜研磨を頑固に続けている工房を見学しました。

工房正面。外にカットした瑪瑙がゴロゴロ。中に誰も居なくてうろうろしていたら、向かいの家から女性が出てきて、近くで薪割りをしていたおじさんを呼んできてくれました。その人がこの工房の4代目のジェムカッターさんでした!

まず工房の裏に案内されて水車を拝見。意外とゆっくりの回転でした。このチョロチョロ流れる水がこれから見る工房内の全てをまかなうのには驚きました。

中に入ると、水車と平行に大きな歯車が繋がっています。この歯車の歯は木製で、取り外しが出来るんです!歯を増やしたり減らしたりで機械のスピードを調節するということらしいです。ドイツ語なので身振り手振り以外は殆どわかりません(汗)

動力を伝えるベルトは革製。牛革と豚革を使い分けている…らしいです。車輪も木製だったりで美しいですね〜

これが版画などで見たイーダーオーバーシュタインの瑪瑙研磨ですね!この方は本当にこれで今も製作しておられるのです。この姿勢は苦しそうに見えますが、8時間磨けるそうです!

柳の枝のようなものを使って押さえていますね。

この台も職人さんに合わせて作ってるんだろうなぁ。女性はこの仕事できますか?と聞いたら、男だけですとのことでした。

工房の中にはカッターもあります。もちろん水力で動きます。

見学したときは止まっていましたが、いろんな種類の回転砥石も全て一つの水車で動かすことができるのです!最盛期は5人がここで働いていたそうです。

4個あるタンブルは動き続けていました。

素材の石は輸入物が殆どだとか。瑪瑙以外も扱っていて、アベンチュリンらしき緑の石や、縞の蛍石が見えますね。

人工ガラスと天然ガラスのサンプル。

あらっ、これはよさげなドイツの瑪瑙じゃありませんか!

砥石の手許に電灯はいちおうありましたが、曇りのこの日でも大きく取った窓から光が充分に差し込むので使っておられませんでした。

電気を一切使わないでも、人は硬い瑪瑙を切って研磨することが出来る。

なんと美しく尊い技術でしょう。
私はなにやら救われた気持ちになりました。

追記:この工房を見たい場合は、隣接するキャンプ場を目指すと良いでしょう。キャンプ場の人は英語OK。工房の連絡先は(たぶん)こちら