水車を動力とした瑪瑙カット研磨工房

前回レポした、4代続いているOtto Biehel氏の工房の続きです。電気は一切使わず、水車による動力で瑪瑙原石のカットスライス、研磨の全ての工程を行っています。

この工房、地図でみると街からずいぶん離れた山の中にあるんですが、偶然にも泊まったキャンプ場の近くだったので歩いていけました。見学後に向かいにある直売店も見せてもらいました。

この瑪瑙のペンダントヘッド、42ユーロぐらいだったかな。チープな天然石アクセサリーに慣れているせいか、お値段はかなり高く感じられました。なので幾つか気になるのがあったのに一個しか買いませんでした。

帰宅して写真撮って初めて気づいたんですが、これ角が研磨機で取ってあるんですよね。ぴしーっと線が出ています。チープなものにはこんな加工は絶対されてないです。さすが職人!

こんな良い品ならもっと奮発して買えばよかったなぁと思うとともに、こういう工房が続いていくことの難しさを考えました。人件費の安いところで電力使って作られたチープな輸入品にどうしたら対抗できるのでしょうか。最盛期は5人が働いていた(その動力もこの水車一個でまかなえる!)のに今は一人というのもそれを表しています。見学者からの入場料が無いと採算はとれないでしょう。


さて、このエリア「ドイツ宝石街道」には、もう一箇所、水車動力で瑪瑙研磨を行っている場所があります。
大きな駐車場を備えたHistorische Wfiherschieifeは瑪瑙研磨工房のほかミュージアム、土産店、レストランがゆったりと点在する公園になっています。通りかかったときはミュージアムショップとレストランしか開いてなかったのですが覗いてみました。するとどこにでも売っているタンブルや着色瑪瑙のスライスなど、どこにでもある安い輸入物ばかりで…これは落胆しましたね。

物づくりではなく、単なるショウとしてやっているのですか?と疑問を持ちました。せっかくなんだから値段が高くても歴史ある水車小屋で職人さんが手作りした製品を売ってほしかったですね。もしかしたら閉まっていた研磨工房の中に手作り品があったのかもしれませんが…

どうしたら、電力を使わない職人の技術が後世に残せるのか。
消費者である私達も良く考えて行動しなきゃいけないなと思いました。